メイ首相、辞任会見の全訳原稿文

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2019年5月24日、イギリスのテリーザ・メイ首相が辞任表明の会見を開きました。

2016年の7月から約3年間首相を務めてこられ、その期間の多くをイギリスのEU離脱に向けて尽力されていました。

私はメイ首相がとても好きだったので今回の発表はとても残念な気持ちです。

メイ首相は愛国心に溢れていて、ブレグジットについても、イギリス・EUの両者が納

得いけるかたちを模索して取り組んできたからです。

 

ブレグジットは、2016年6月23日に英国内で実施された国民投票の結果を尊重し、以降どのように離脱をするかの議案をまとめ続けるも、2019年5月現在まだ議会において合意には至っていません。

メイ首相は6月7日の金曜日に保守党党首を辞任し、辞任の翌週から開始される党首選で後任者が決まると首相を辞任するということです。

 

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(以下、全訳の原稿文)

後ろの扉を始めて首相として通って以来

私は連合王国

特権的な少数のための国ではなく

あらゆる人の国にしようと努力してきました

またEU国民投票の結果を尊重しようとしてきました

私たちは2016年英国民に選択の機会を提供しました

あらゆる予想に反して英国民は欧州連合の離脱を選択しました

今日の私は3年前と同じくらい確信しています

民主主義においては国民に選択の機会を与えたなら

国民の決定を実行に移す義務があると

私はそのために最善を尽くしてきました

離脱の条件や近隣諸国との新しい関係を交渉しました

この国の雇用や安全保障そして連合を守るよう

離脱協定に下院議員の支持を得るため

できる限りの説得を重ねてきました

残念ながら説得はできませんでした

私は3回にわたり支持を得ようとしました

たとえ成功は難しそうでも

がんばり続けたのは正しかったと思います

けれども今やはっきりしました

ブレグジットの取り組みを新しい首相が主導することが

この国にとって最善なのだと

なので私は保守党党首を6月7日の金曜日に辞任し

後任に譲ります

党幹事長および党の1922年委員会委員長と

新党首の選考は辞任の翌週に始めるべきだと合意しました

自分の意向については全て女王陛下には常時お伝えしています

新党首が決まるまでは陛下の総理大臣として勤め続けます

EU離脱を自分が実現できなかったことを私は今もこれからもずっと

非常に残念に思い続けるでしょう

国民投票の結果をどう尊重するか方法を決めるのは後任になります

成功するには後任者は議会の合意をまとめなくてはなりません

私ができなかったことです

そのような合意形成は全関係者に妥協の用意がなければ無理です

 

偉大な人道活動家のサー・ニコラス・ウィントンは

ナチス占領下のチェコスロヴァキアから何百人もの子供をイギリスに避難させました

サー・ニコラスは長年にわたり私の選挙区の有権者

亡くなる数年前にやはり政治的にきわめて混乱していた時

サー・ニコラスは地元の行事で私に助言してくれました

「『妥協』は汚い言葉ではないと決して忘れないで」と

「生きるとは妥協すること」だと

おっしゃった通りです

この国に必要な妥協・譲歩の確保には

ブレグジット実現のためあるいは北アイルランド自治復活には

どういう経緯で今に至ったか思い返す必要があります

国民投票は単にEU離脱だけでなく

この国の大変革を求める声だったので

本当にすべての人にとって機能する国を求める声でした

過去3年間に達成した進歩を誇りに思っています

キャメロンとオズボーン両氏が着手した作業を完了させ

財政赤字はほとんどなくなりました

公的債務は減りつつあり緊縮財政はもうすぐ終わります

私は最新産業戦略を通じて将来的に有望な雇用が

ロンドンと英国南東部だけでなく

全国で創出されるよう取り組んできました

安定した雇用を今までになく大勢に提供しました

住宅を増やし初のマイホーム入手を支援しています

若者が親の世代と同じ機会を享受できるように

私たちは環境を保護しています

プラスチックごみをなくし気候変動や大気環境改善に取り組んでいます

まともで穏健的で愛国的な保守党政権には

こうしたことが英政治の場で達成できるのです

平時の政府が経験した最大の課題に取り組みながら

保守党はこれから自分たちを刷新できます

ブレグジットを実現し

自分たちの価値観をもとにした政策を国民に提供できます

安全保障と自由と機会です

政治家としての私が常に指針としてきた価値観です

けれども首相の職ならではの特権は

声なき人に発現の場を与えること

この社会を今も損ねるひどい不平等と戦うことです

だからこそ私は国民医療制度(NHS)

長期計画の中心に精神医療の拡充を置きました

住所を問わず全てのDV被害者への避難用住居提供を義務化しました

人種差別や性別の賃金格差について実態を調査し

不平等をごまかせられないようあぶりだしたのもそのためです

そしてだからこそグレンフェル火災について独立調査委員会を設置しました

真相を探り再発を絶対に防ぎ

あの夜の犠牲者が決して忘れられることのないように

なぜならこの国は連合国なので

4つの国が家族として集まっているだけでなく

国民全員の連合です

出自も肌の色も誰を愛するかも関係なく

私たちは肩を並べ共に素晴らしい未来へ向かっています

私たちの政治はきしんでいるかもしれませんが

この国には良いところが本当にたくさんあります

誇るべきところも前向きになれることも

たくさんあります

 

間もなく去るこの仕事は自分の一生にとって光栄そのものでした

2人目の女性首相で

もちろん最後(の女性首相)ではありません

辞職は決して無念ではなく

このような機会を与えられ果てしなく多大に感謝しています

愛する国に仕えることができたのですから